年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2020年に購入したカメラ関連製品をひとつだけ挙げていただきました。(編集部)
APS-Cクロップ時でも十分な画素数を保持
やはり、この新型コロナウィルスに関する騒動で撮影業務は一変した。外出もままならない春と梅雨を経て、夏にかけても例年請け負っている撮影業務がなくなったこともあり、「仕事カメラ」の必要性は限りなくゼロ、という時期も少なからずあった。そう、私の必要性も……ということになる。しかし時間とともに、この事象ゆえの撮影が発生したりと徐々にではあるが回復しつつある。こんな時なので確実に必要と判断できる機材を購入の対象にした。一風変わったガシェット感ある機材こそ、皆さんの注目の的となるだろうが、今回は(も)実用途で選んだ機材であることはお許しいただきたい。
昨年12月掲載のFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSや、1月掲載のSONY FE 600mm F4 GM OSSのレビュー執筆時に試用したα7R Ⅳが生み出す「高画素画質」には惚れ惚れしていた。
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私にとってミラーレスのαシリーズは、α9を高速連写用途として使うことが中心であり、高感度シーンではニコンD5、高画素シーンでは同D850を多用していたため、α7R Ⅳを発売開始と同時に即購入とはならなかった。だが、前記のレビューで知ったα7R Ⅳが作る高画素世界が、一つ抜け出す上等なものと認識し、その世界が私の頭の中を巡り続けていた。
自身の撮影環境においては、α9の2400万画素でも時に十分といえるが、ミラーレスαシリーズの本格運用にはさらに高画素が必要と感じていた。そこに、このα7R Ⅳに惚れ惚れするに至った実体験が加わり、そしてα9ではクロップされてしまう4K動画の撮影画角のクロップもないため、静止画と動画をシームレスに撮る際の利便性から、α7R Ⅳのニーズが自身の中で俄然高まったことが購入に至った主たる理由だ。
α7R Ⅳは、35mm判フルサイズの現行機種で最高画素となる6,100万画素でありながら、10コマ/秒での撮影が可能なので、ISO 800以上に上げる必要のない晴天下ならスポーツなどの動体撮影にも持ち出せて、APS-Cクロップ時でも2,600万画素と十分な画素が保たれるため、この月の写真のような超々望遠が欲しい時にも、頼もしい。
ということで手に入れたα7R Ⅳ。使い込んで行くと、当然その良し悪しも見えてくる。高画素ゆえに1ファイルあたりのデータ量が重く、高速連写を多用するとバッファメモリーをすぐに満タンにしてしまうことが難点。しかし、低速連写時ではEVF表示方法が違うため、比較的被写体が追えるHi+の高速連写モードにしないと気が済まない。このようにメディアへの書き込み速度とか、炎天下のオーバーヒートとか、他に注文をつけたくなることは多々あるものの、そこはやはり画質にこそ存在感のある高画素機。ISO感度を上げた際のノイズは気になるが、静止画記録に、動画記録にと2020年のメイン機材級の活躍をしたのはこのα7R Ⅳだった。
11月30日に見られた半影月食の状態で上がってきた満月。左上側が薄っすらと暗いのが判る。高感度時のノイズは気になるが、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSと2倍テレコンの組み合わせでもシングルAFは効くので、そのコンパクトさもあって超々望遠ながら利便性は高い。
SONYα7RⅣ / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS+SEL20TC / 1,200mm(APS-Cクロップ・1,800mm相当) / マニュアル露出(F13・1/1,600秒) / ISO 2500

近況報告
Go Toキャンペーンを利用し、仕事そっちのけで離島へ登山に行った。1泊2日の弾丸ツアーで一眼2台、レンズ3本をリュックに忍ばせたが、急登の連続に、リュックからカメラを出す気力も失せ、撮影の多くをポケットに入れていたスマートフォンで済ませる、という高画質主義に反した自身の行動にショックを受けている。登山コースのせい、歳のせいと思い返すが、遅かれ早かれ、いずれ撮影機材の大半はスマートフォンに取って代わる、ということを確認した絶景登山だった。
井上六郎
(いのうえろくろう)1971年東京生まれ。写真家アシスタント、出版社のカメラマンを経てフリーランスに。自転車レース、ツール・ド・フランスの写真集「マイヨ・ジョーヌ」を講談社から、航空機・ボーイング747型機の写真集「747 ジャンボジェット 最後の日々」を文林堂から上梓。「今すぐ使えるかんたん 飛行機撮影ハンドブック」を技術評論社より刊行中。日本写真家協会、日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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投稿者 semorina

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